2016/01/07

嵐の予感「ダウントン・アビー」シーズン1第1話

 1912年、イギリス郊外にたたずむ大邸宅 “ダウントン・アビー” に住むロバート・クローリー第7代グランサム伯爵のもとに、豪華客船タイタニック号沈没の悲報と、爵位と財産の相続者であり、長女メアリーの婚約者でもあったパトリックが、船もろとも帰らぬ人となった知らせが届く。そして新たな相続人として意外な人物が迎えられることになる。一方、新たに赴任してきた伯爵付従者ベイツは、足が不自由なことから一部の使用人に問題視され、試用期間を終えて解雇されるが、屋敷を立ち去ろうとするベイツロバート伯爵が「待て!」と呼び止める。(詳細は下記へ↓

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 1912年、イギリス。郊外にたたずむロバート・クローリー第7代グランサム伯爵が暮らす大邸宅 “ダウントン・アビー” にいつもより朝刊が遅れて届く。旦那様がインクで手を汚さないように、届いた新聞にアイロンをかける第二下僕のウィリアムは、衝撃的な記事に目を留める。ウィリアムは早速、執事のカーソンにその記事を見せる。

 朝食の席についたグランサム伯爵ロバートは、新聞の「タイタニック号沈没」の記事を見て「なんという悲劇だ」と胸を痛める。
 朝食の席に降りてきたロバートの3人の娘うち、長女メアリーと次女イーディスも、タイタニックの悲報を知って知人たちの安否を気づかう。そこへ三女のシビルが「今、届いたの」とロバートあての電報を持ってくる。

 電報の内容に目を通したロバートは席を立って足早に、まだ寝室にいる妻のコーラの元へ駆けつける。電報はロバートの爵位と財産のすべてを相続する予定だったロバートのいとこのジェームズと、その息子で長女メアリーの婚約者でもあったジェームズの一人息子パトリックが、タイタニックの事故で命を落としたという知らせだった。二人は財産の行方と、婚約者の死去をメアリーになんと伝えるべきかと話し合う。

 一方その頃、屋敷には新しい使用人がやって来る。ベイツと名乗るその男が、足が不自由で杖をついていることに侍女のオブライエンは渋い顔をする。メイド長のアンナはオブライエンとは対照的に、すすんでベイツに握手を求める。ベイツが足が不自由なことを知って、使用人たちは皆口々に「その足で仕事ができるのか?」と心配するが、ベイツは「心配いらない」と言う。

 父ロバートから、婚約者パトリックの死を知らされた長女メアリーは、
「婚約は正式に発表したわけでもないのに、私は喪に服さなくてはいけないのか?」
 と言う。さして悲しんでもいないばかりか、婚約自体をそもそもなかったことにしようとしているメアリーの様子に、ロバートは唖然とする

 妻のコーラロバートに、
「これで状況が一変したわ。今こそ限嗣相続制(げんしそうぞくせい)に異を唱える時だわ」
 と意見する。二人の間には3人の娘がいるが、この時代の「限嗣相続」という制度では、女性には爵位や財産を相続する権利がなかったのだ。
「爵位だけでなく、屋敷まで手放すなんて・・・」
 とコーラは嘆く。

 パトリックとジェームズの訃報を聞いて屋敷にやって来たロバートの母バイオレットは、
「パトリックは気の毒だわ、いい子でしたもの。でもジェームズは嫌い。彼のダメな母親にそっくり」
 と言い放つ。そして、彼らが亡くなったことにより「会ったこともない私のまたいとこの孫」が新しい相続人となることをコーラに伝える。コーラは、自分の莫大な持参金がかつてこの屋敷を守るために使われ、本来なら息子か孫が屋敷を相続するはずだったのに、娘ばかりで息子は生まれず、孫すらメアリーの婚約者が亡くなった今となっては幻となったことを嘆く。
 このままでは赤の他人に財産が渡ってしまうという事態に、「打つ手はないのか」と問うコーラ
「ありますよ、簡単なこと。限嗣相続制を打ち破って、メアリーを相続人に」
 と言うバイオレット。爵位は失っても、持参金と屋敷は継げると言うバイオレットは、
「見知らぬ者にやすやすと渡してなるものですか」
 と言う。

 使用人たちの昼食の席にロバートが突然やって来る。ベイツを「戦友」と呼んで再会を喜ぶロバート
 ロバートが去ったあと、
「ご主人様とは以前からの知り合いだ」
 と言うベイツに驚く使用人たち。

 教会で開かれたタイタニック事故の追悼式でロバートは、顧問弁護士のマレーから新しくダウントン・アビーの後継者となったマシューはマンチェスターの弁護士で、専門は会社法。母親と二人暮らしで、医師の父親はすでに他界と知らされる。このままでは妻の持参金までの全て後継者に相続されるとマレーから説明されたロバートは、持参金だけでもなんとか守りたいと言うが、ロバートの父が決めたことだから無理だと言うマレー。

 侍女オブライエンはコーラに、足に障害のあるベイツでは充分な働きはできないと遠回しに語る。ロバートから足に関して質問されたベイツは、「古傷」と言って、ロバートと一緒だった軍を除隊したあと、「1年ほど前から膝が痛み始めた。砲弾の破片が入っているが平気です」と説明する。
 第一下僕のトーマスはオブライエンに、ベイツの代わりに自分が旦那様の係になりたかったと語る。オブライエンは、簡単にベイツを追い出す方法があるとトーマスに言う。

 長女のメアリーは妹たちに、タイタニック事故で亡くなった婚約者を「他に相手がいなかった時の保険」と言う。
 その言動に、
「ひどすぎる」
 と言う三女シビル
「いざという時はイーディスが相手に」
 というメアリーに、次女イーディスは、喜んで相手になったがメアリーが譲らなかったと言う。

 ベイツ追い出しを図る第一下僕トーマスは、執事のカーソンにベイツは「給仕もできないし、荷物も運べない。仕事の水準が保てない」と愚痴を言う。
 ロバートコーラから、ベイツのことをオブライエンが問題視していると言われ、「他の使用人が不満を抱く」と忠告されるが「チャンスをやりたい」と言う。

 ロバートは母のバイオレットに相続に関して「打つ手はない」と伝える。コーラの持参金まで失うと知ったバイオレットは「コーラと結婚したのは、財産が目当てでしょ。それを失っては元も子もない」と嘆く。

 古傷が痛み、オブライエンの目の前でカトラリーの乗ったトレーをひっくり返してしまったベイツ。オブライエンはトーマスにこっそり、「奥様がベイツを解雇したがっている」と伝え、ロバートがトーマスを気に入りさえすれば上手くいくと伝える。

 コーラバイオレットは、婚約者を亡くしたメアリーのために、クロウバラ公爵との新しい縁談を計画する。
 クロウバラ公爵がダウントン・アビーへ到着したその当日、玄関前で公爵を出迎える場で、ベイツは、オブライエンとトーマスの陰謀から足払いをされ派手に転倒する。助け起こすメイド長のアンナベイツは「同情はいらない」と言う。

 クロウバラ公爵とメアリーは初対面なわけではなかった。メアリーに屋敷を案内して欲しいというクロウバラ公爵は、ひと気のない屋根裏で二人っきりになり「二人っきりになるのは初めてね」と言うメアリーに「ノースブルックでのことは忘れたのか?」と言う。
 そしてクロウバラ公爵はメアリーが止めるのも無視して、使用人であるトーマスの部屋へ勝手に入り、引出しを物色する。そこへ偶然ベイツが通りかかり、メアリーは慌てて詫びを言って立ち去る。クロウバラ公爵はメアリーに「あの男に詫びる必要ないのに」と薄笑いを浮かべて言う。

 執事のカーソンから「ベイツは給仕も荷物運びもできない。屋敷の名誉に関わります」と言われたロバートは「残らせてください。熱意はあります」と力説するベイツに解雇を言い渡す。


 クロウバラ公爵を交えた夕食の席で、妹たちは「屋根裏に何をしに行ったのか?」「使用人の部屋に何の用が?」とメアリーをからかう。「黙って」と怒るメアリー

 アンナは「具合の悪そうなベイツさんに差し入れを」と、食事を届けようとする。使用人たちには執事カーソンからベイツの解雇が伝えられる。食事を部屋に運んだアンナは、泣いているベイツを盗み見てしまう。何も見ていないふりで食事を届けたアンナは「次の職が決まったら教えて」と言う。

 クロウバラ公爵に「メアリーの相続分は増えたのでは?」と問われたロバートは「限嗣相続制に逆らう気はない」と答える。それを聞いたクロウバラ公爵は急に態度を変え、屋敷を訪れたのは友情からただお悔やみを言いに来ただけであって、メアリーと結婚の意志はないことを明言する。そのあとメアリーがクロウバラ公爵に声をかけるが「今日は疲れた。明日帰る」と冷たく行って去るクロウバラ公爵。成り行きを影で見ていた次女のイーディスは「魚が逃げた?」と姉をからかう。

 トーマスを指名して、身の回りの世話をさせるクロウバラ公爵は、部屋で二人きりになると親しげな口調でメアリーの取り分は変わらず、財産のほとんどは遠い親戚がもらうそうだと話し、お前が電報で知らせてくれたのは正解だったが失敗したと言う。「何としても女相続人と結婚する」と言うクロウバラ公爵にトーマスは「一緒にいたい」と髪をなでで、キスをする。クロウバラ公爵は「僕らに未来はない。そう簡単にはいかない」とトーマスに言う。トーマスは「忘れたのか?」とクロウバラ公爵を脅す。
「ロンドンでの情事で、僕をおとしいれるつもりか」
 と言うクロウバラ公爵に、「証拠がある」と強気に出るトーマスだったが、クロウバラ公爵はメアリーと屋根裏に行った時にトーマスの部屋で手に入れた手紙の束を見せ「これか?」と言って、即座に束を暖炉の火に投げ込む。「きっぱり諦めろ」とクロウバラ公爵に言われたトーマスは、怒って部屋を出て行く。

 ロバートは寝室で妻コーラに、クロウバラ公爵は金目当てだったと語る。「金目あてで幸せになれるか?」と言うロバートに「私だってなったもの」と言うコーラ

 翌朝、ロンドンへ帰るクロウバラ公爵を駅へ送るための車に、解雇され屋敷を去るベイツも同乗する。二人を見送りに出たロバートは、走りだした車を「待て!」と呼び止めて「行くな、すべて忘れてくれ」とベイツを車から降ろす。
「私にはできなかった。やはり間違っている」
 と、執事カーソンに告げるロバート

 その頃、マンチェスターで母と暮らす弁護士のマシューの元に、一通の手紙が届く。
「グランサム伯爵からだ」
 と母に伝えるマシュー。
 マシューは手紙を読んで驚愕し、
「我々の人生が変わる」
 と、血相を変えて母に言う。


 正直、最初見た時は重苦しい英国貴族の世界観に「退屈そうだな」と思ってしまいました。
 しかし見始めると、グイグイ物語の中に引きこまれていき、気がついたらあっという間に見終わっていたという感じです。

 長女メアリーはどことなく、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラを連想させますね。

 このドラマで一番大きなテーマは「限嗣相続(げんしそうぞく)という、この時代のイギリスの制度にあります。

 これが理解できないと、ドラマの大筋がつかめませんね。
 簡単に言うと「女性には相続する権利がない」という制度です。

 このことにより、大邸宅「ダウントン・アビー」と、妻コーラの莫大な持参金が他人の手に渡る可能性がある。他人と言っても何らかの血縁関係はあるのですが、ドラマの中でもはっきりとおばあさまのバイオレットが、新しく後継者となったマシューのことを「会ったこともない私のまたいとこの孫」と言っています。
 屋敷の主人ロバートも、マシューの父が医師だったと聞いて「親戚に医師がいたとは驚きだ」と言っていることから、一面識もない遠い親戚であることがわかります。

 この先、ドラマはこの「ダウントン・アビー」の後継者問題と、娘達の恋愛ストーリー、そして使用人たちの恋愛ストーリーも複雑に絡んで展開していきます。

 圧倒されるような貴族のお屋敷暮らしである反面、結婚相手がなかなか決まらないメアリーの心の迷いなどは、今の時代にも共通する不変のテーマではないでしょうか。

 新しい後継者マシューも気になるけど、何か過去に謎のあるベイツさんからも目が離せません。

 余談ですがラスト近くのトーマスと公爵のBLのシーンの直後に、ロバートが立ち去るベイツさんを呼び戻したので、ロバートベイツさんの間にももしや・・・なんて変な妄想をしてしまいました。これは邪推だったみたい(笑)。

 気になった方、視聴はぜひhulu(フールー)で。

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